エリート上司と秘密の恋人契約
でも、嫌だと言えない。


「美弥」


「はい」


そういえばこの人、さっきから美弥と自然に呼び捨てにしている。これに関しては嫌ではないが、順応性が早いというか、すごいと感心してしまう。

私はそう簡単に和真とは呼べそうにない。

1ヶ月以内に呼べるかどうかも怪しい。

そもそも、名前を呼ばなくても会話は成立するのではないだろうから、無理に呼ぶように努力する必要はないと思う。

無駄な努力はやめようかな。呼び方はそれほど重要とは思えない。たったの1ヶ月だから。


「俺は短い期間でも美弥との時間を大事にしたい。俺と付き合うと返事をしたからには、美弥にも楽しんで欲しい」


楽しむ?

楽しめる?

この交際、どうやったら楽しめるだろう?

やっぱり1ヶ月だけと割り切るしかないけど、楽しめる自信がない。

早々と付き合うと言ったことを後悔しそうだ。

だけど、私の心知らずの諸橋副課長は意気揚々としていて、1泊で楽しめる場所を調べると言っていた。


私は「お任せします」と言って、コーヒーショップを出たが……
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