エリート上司と秘密の恋人契約
もうすぐ会えるという現実に私の心は浮かれた。

二週間後に人事異動の通達が社内システムの掲示板に公開される。

和真が戻ってくることよりも黒坂さんが部長になることがオフィス内で話題になっていた。

黒坂さんは男女問わず人気があるので、現場に戻ってくるのを待ち望んでいた人が多い。


「あ、星川さん」


「お疲れさまです。お忙しいですか?」


総務部に通勤定期の領収書を持っていくと、そこに黒坂さんがいた。黒坂さんは用事が終わったらしく出るところだった。出入り口の端に寄って話す。


「うん、忙しいかな。やることが多くてね。今はゆっくり話している暇はないんだけど、アイツが戻ってきたら、また猫を見においでよ」


「はい。行けるかは分からないけど、行きたいです」


和真が戻ってくるのを楽しみにしていても、私たちの関係がどうなるかは分からないから、「行きます」とは言えなかった。

黒坂さんはそんな曖昧な返事でも察してくれたらしく「期待してる」と言って、優しく微笑んだ。
< 167 / 232 >

この作品をシェア

pagetop