エリート上司と秘密の恋人契約
私が鈍すぎるから、小沢が大変? 言っていることがますます理解できなくて、首を傾げる。


「あー、確かに星川さんは鈍感だものな」


和真まで鈍感だと言う。鋭いほうだとは思っていないけど、軽く落ち込みそうだ。


「あ、小沢くん、おかえり。話終わったの?」


「はい。……ふう」


戻ってきた小沢はため息をついてから、ビールを飲んで、おかわりを頼んだ。


「あー、なるほどね」


なにやら騒がしい声が聞こえてきたと思ったら、総務部の人たちのテーブルだった。その中心にいるのが大塚さん。

さやかさんの納得する声が理解できた。大塚さんが泣いているのだ。嬉し泣きではなく……悲し泣き。それを周りが大げさに慰めている。

大塚さんは小沢に告白して、振られたようだ。振られたのはかわいそうだけど、振るほうも大変らしい。小沢の疲れたようなため息が全てを物語っているように見えた。


「罪な男だな」


「諸橋さんに言われたくないです。かなり冷たく振っていると聞きましたよ」
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