エリート上司と秘密の恋人契約
何でと言われても……こっちこそ、何で私なのよ? と返したい。

多分理由なんてない。きっと誰でも良くて、たまたま私がそこにいたから声を掛けただけじゃないのかと思う。

だって、私たちには同じ会社に勤めているということしか接点がない。だから、特別な気持ちがあって、私を選んだのではないだろう。

そうではないと、1ヶ月という常識的にあり得ない誘い方をしてこない。


「好きだから、付き合いたい」


「はい?」


思わず自分の耳を疑ってしまった。今、「好きだから」と言ったよね?

好きだから?

本当に?


「聞こえなかった? もう一度、言おうか?」


「いえ! ちゃんと聞こえました。でも、どうして、私を?」


何度も思うが、話したことをなければ、こんなふうに向き合うこともなかった。私を好きとか思う理由がない。全く分からない。


「どうして? 好きになるのに理由なんてないと思うけど。そうだなー、敢えて言うなら、君の笑顔に惚れたってとこかな」


「え、笑顔ですか?」


「うん。星川さんは笑顔がいい」


「はあ……」
< 7 / 232 >

この作品をシェア

pagetop