エリート上司と秘密の恋人契約
翌日、夜になるまで私はずっとそわそわしていた。

諸橋副課長にどう返事しようかと悩んでいた。


「おー、諸橋。ちょっとこっちで話そう」


え? 諸橋さん?

部長がなぜか諸橋副課長を呼ぶから、部長のデスクへと顔を向けた。

わっ、本当に諸橋副課長だ!

ここのフロアに来ることは珍しいというか、私は初めて見た。部長に呼ばれて来たのだろうか。


「あら、諸橋くんじゃない? ここに来るなんて珍しいわねー」


「さやかさん、お知り合いですか?」


隣のデスクに座る本間さやか先輩は、入社当時から頼れるお姉さん的存在で何かとお世話になっている。

飾らない性格のさやかさんは男女問わず人気があって、尊敬もしている。


「うん、同期なのよ。でも、諸橋くんが一番出世コースを歩いているわよねー。最初はのんびりした人だと思ってたのに」


「へえー、そうなんですか…」


あまりというかほとんど知らないが、のんびりというのはイメージと違うと思った。

何でもスマートにこなし、てきぱきと動き、言うべきことは上司にでもちゃんと言う……と噂で聞いたことがある。だから、さやかさん同様に人気がある。
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