声が聞きたくて


『ただいま』



声にならない声は
自分の部屋を更に寂しくさせる


無駄に電気をつけ
見もしないテレビをつける


帰りに買ってきたビールを口にする
グラスに注ぐなんてしない



『美味い』


いつになったら
自分の声を取り戻せるのか……


不自由を感じなく生きてこれた
けど、久しびりに感じた不自由

もう会うことがないだろう彼


名前くらい聞けばよかった。



ふと思い出す、彼が言った一言

「珍しい」

なんのことを指していたのか
全く見当がつかない


領収証かな?
あんなスーツ着てたから
いかにも、若手社長って感じだった

若いよね……30はいってない
どこかであったかな?
見たことあるような……


考えても答えが出るはずもなく
まぁ、いいやとビールを飲み干す
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