小悪魔な彼の想定外な甘い策略
「じゃ、先行ってるから!ごゆっくり!」


梶山君を押し退けて、勢いよくドアを開ける。


「……すぐ行きます」


申し訳なさそうに言いながら、梶山君が後ろに下がる。


ああ、勢いつけて入ってしまったけど……でも却ってよかったかも。


無駄に緊張する手間が省けたっていうか。


「こ……んばん、は……」





いつもなら聞こえる『いらっしゃいませ』が、ない。


時間的には、ある程度お客さんで埋まるようなものなのに、何となく静か。


店内にはいつも通り、低く小さく私の知らない洋楽がかかっているけれど……。


不思議に思いながら、足を進める。カウンター、ボックス席……。


お客さんもいなければ、バイトの子もいない。そして勿論、蓮田さんの姿も……。
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