小悪魔な彼の想定外な甘い策略
「あーーーーー、俺、好きな子出来たんだ。浮気じゃないから。これで、終わりな」


彼は、ベットの上でポカンとしている私に信じられない台詞を投げつけ、着々と身支度を整えていく。


見慣れた身体。
見事とは言えないまでも、それなりに引き締まった馴染みのある身体が、シャツの中にしまわれる。

もう二度と見ることはないんだな、とぼんやり思う。


『泣く』『怒り狂う』『責め倒す』『問い詰める』……なんでもいいけれど、とにかく修羅場モードになる事すら、私には許されず、そんな彼をただ見つめていた。


メールの誤送信を詫びるでもなく。
勿論、心変わりを詫びるでもなく。


彼は当然のように去っていった。


メールの誤送信さえなければ、とかいう問題では無いことはさすがの私にも分かった。


一人で残された部屋で、泣いたような気もするけれど、そこら辺は記憶が曖昧。

ただ、その時持っていたぱこぱこと折り畳む形の携帯が懐かしいなぁなんて思う。


これが、割と軽めな方。
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