小悪魔な彼の想定外な甘い策略
「ね、ごめん、指汚れちゃったでしょ?大丈夫?」


まだ楽しそうにくすくす笑っている梶山君の手を取り、指先を確認しようとする私。

だって、絶対グロスついちゃってる。基本的に塗ってもあんまり変わらないから(変われないとも言う)厚化粧じゃないけど、それなりに外へ出るバージョンにメイクはしてあるし。

「へ?!うわぁあぁあ!」

まだへろへろと思っていた私が急に動いたからなのか、手首を掴んだ瞬間、梶山君が大きな声を出して飛び退く。


「……いや。取って食いませんけど?」


あまりにビックリされたことで何だか軽くショックな私。
何さ、自分はさっき何の躊躇いもなく手を貸してくれたし、唇グリグリしてきたくせに!


「はー、ビビった、俺フェイントに弱くて」


本当に驚いたのか、私が掴んだ辺りを自分の手で握りしめ、2、3歩後ろに後ずさる梶山君。
……襲われ掛けた乙女のようですけど、なんですかそれ。
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