君とキスをした。

不安




それは突然だった。


昼休みが終わろうとしていた時、彼が教室に来た。


『 優 』

名前を呼ばれて、彼の所に駆け寄った。

だけど、彼はどこか暗い顔をしていた。

何を考えてるのかわからない表情。

いつも話す時は笑顔なのに、今の彼はいつもみたいに笑っていなくて、少し不安になった。

『どうしたの?』

そう聞けば、彼は早口で

『放課後、俺の教室に来てくれ』

それだけ言って、私の返事も聞かずに彼は行ってしまった。いつもより、少し声が低かった。

彼が早足で歩いていくのを、私はただ目だけ驚いた顔をして見ていた。


もう、その時私は少し気づいてたと思うけど、そんなこと考えたくなかった。



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