生神さまっ!
「んで、春の玉ってどうゆうやつなの?」





「コレ」




冬斗が私に見せてきたのは、
テニスボールサイズの…半透明の薄桃色の、きらきらとした…球。




「…うっわ、想像以上にきれー」



「あたしも写真でしか見たことなかったから…

すごい、ね…」




春乃のつぶやきは、一瞬で消えた。
私たちが広間からでて、外に出ようとしたところで。



春乃の視線は、冬斗が持つ春の玉じゃなくて、
その奥の…茶色い髪の、私たちと同い年ぐらいの倒れている男の子に行っていた。




…春乃?

声をかけようにも…春乃はすぐに、その男の子のもとへ駆け寄ってしまう。



…待って、
もしかして…あの、男の子って…



違う…よね、うん。
私の勝手な想像だよね…




春乃の涙がぼろぼろと流れ落ちるのを見ても、私はそんなことを考えていた。
罪の意識から、逃れるために。



「はる、き…!!」



私の想像が現実となってやっと、私は自分が犯した罪を…受け入れる気がした。




「…ごめん、春樹、ごめん…!

なん、でこんなところに…!!」




…あの男の子を殺してしまったのは、たとえ私が直接危害を与えてなくても、私たち3人であることには違いない。



私達は、春乃が愛する人を…



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