生神さまっ!
冬斗の持つ春の玉が、確かに…中から光っていた。




もともときらきらしていたけど、その光とはまた違う、温かい光…





『…春乃』





そして、
倒れていたはずの彼が…いつの間にか、起き上ってて。


優しい微笑みを、春乃に見せていた。



恐い、とか、そんな感情よりも。
私は…ただ、春乃と彼が再び会えた、そう思うと…嬉しさで、胸がいっぱいになる。





『…ごめん。

僕、死んだけどさ、まだ春乃が好きみたい』



「春樹…ほんとに、春樹なの…」



『もちろん…

…僕はさ、春乃と約束が果たせなかったのを、凄い心残りにしている。


ずっとずっとそれを思ってたら…突然女の人が来て、春乃に会わせてあげる、ってさ…

…春乃の事情は、佐保姫さん、だっけ?に教えてもらったのに…会えると思うと嬉しくて…気付けば、彼等と戦ってた』



彼等…は、私達、だよね。
やっぱり、操られてたんだ。
…けど、

やっぱり、春樹さんは、春乃の事を今でも好きだったんだ。




『春乃。

僕が果たせなかった約束を、果たしてよね』



「春樹…行か、ない、で…」




何かを察したのか、春乃が涙声で訴える。

けどそれを見た春樹さんは、切なげに首を横に振るだけ。



『…春乃、そろそろ僕、行かなきゃ。
佐保姫さんに、怒られるよ』



「いや…行かないで、だめ…!」



『ねえ、春乃。

…やっぱりさ、』



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