生神さまっ!
「…夏樹に聞けば分かるけど、

彼…本気、出してなかった。


絶対強いって…最初は感じたのに、途中から急に」




「そうなんだよな。

…ソイツ、多分…俺らが春乃の仲間だとなんとなくわかって、少し手を抜いたんじゃねーかな…ま、今となれば分からない話かもしれないけどな」




春乃がまた、涙を流しだす。

春樹、春樹…そう、何度も何度も、彼の名を呼びながら。




「…あたしね、春樹と約束してたの。桜を見る、約束。

…けどね、叶えられなくって…


…春を取り戻したいはずなのに、もし天界に春が戻って、また桜が咲いたら…春樹の事を思い出して、あたしもっと悲しんじゃうなって。


そう思ってたら…

…桜を見るのが、怖くなってた」




私たちに、春乃と彼の間になにがあったかは分からない。
けど…

2人は、愛し合っていた。

ただそれだけは、分かるんだ。



だから…




「…大丈夫、春乃。

春樹さん、はさ…春乃のことまだ覚えてるし、絶対まだ好きなんだよ」




「…うん…!!」




春乃が、私たちに向かって…とびっきりの、可愛い笑顔を見せた。





その刹那、



「春の、玉が…光ってる?」


「え…!?」


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