生神さまっ!
そして、俺は。






「…夏樹?」




「…あ、なに?」




「…ううん、なんでもない」





香織がどこかさびしそうな笑顔だったのは、気のせいなのか。
いつも笑顔で明るいのが取り柄である香織の事だ。

きっと俺の、気のせいだったんだ。




俺はそう思い込んで、そのまま2人で孤児院に帰った。




結局俺は、早く大人になりたいというそこら辺の子供と同じだった。



俺はもしかしたら生き急いでたのかもしれない。






ただ俺は、いじめられているのも”日常”だと思い込んで。
そんな日常をずっと送れることができたなら、それでよかったんだ。



当時の俺に、季節感なんてものはなかった。




春でも夏でも、秋でも冬でも、なんでもいい。




きっとこれからも、このままだらだらと過ごすのだろう。




ただその日は、
夏休みが始まる3日前…真夏だというのに、

セミも鳴いておらず、
風もどこか涼しげだったのを



なぜか、覚えているんだ。



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