生神さまっ!
そんな声が、私と冬斗の後ろから聞こえた。




思わず私も振り向く。





「…ああ、元彰か。

どうした?」



「どうした?じゃありませんよ…

今日は朝から書物の整理をすると言っておきながら、やる様子がないものですから。

もしかしたら忘れているのでは、と…」



「あ、ごめん。忘れてた…

今日なんかやる気でないから、別の日にしよう」



「4日前もそう言って今日になったんですけど…」




冬斗と同じように、黒い髪色で…私達と同じくらいの年に見える、その青年。


私は一瞬で…瞳が奪われた。



その人が、また冬斗とは違った…なんというか、俗に言うアイドル系みたいなカッコいい顔立ちだったから、とかではなくって。




ちょっと放心状態みたいだった私に気がついたのか、冬斗が少し笑って。




「紹介するよ、秋奈。

俺の付き人の1人、元彰(もとあき)だよ。
秋奈と同じで敬語癖があるらしくてさ。一応同い年なんだけど」



「いや、僕は敬語癖というかあなたが主だからなんですが…」



< 308 / 686 >

この作品をシェア

pagetop