生神さまっ!
闇夜に溶ける、長く美しい黒髪が私の目の前で揺れた。




滲んだ視界に次に映ったのは、紛れもなく


_______"女神"だった。






「迎えに来たよ、冬夜。

いや、今は…冬斗、か」




腰まで伸びる黒い髪、それにはえる透き通るような白肌。
艶めかしく輝く赤い唇と、きゅるんとした大きな瞳。


真っ白な着物と透き通った衣を身に纏う美しいその人は、現代に現れた女神のようであった。





「むかえ…?」


心底わからない、という素振りをみせた冬斗は不審そうに彼女を見た。

その目は暗く冷たく、私のことなど既に視界から外れていた。




「ああ。お前はある指名を預けられて生きる一種の神だ。

本当はまだまだの予定だったが、予定が狂った。


冬斗、私と一緒に来なさい」




確かに彼女のことばはきこえているはずなのに、片っ端から理解ができなかった。

神?この人は何を言っているのだろう。

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