腹黒司書の甘い誘惑
今はイライラしたり投げやりになるほどではないけれど、やはり眉根は多少寄ってしまう。

「大丈夫だよ。わたしもう23だからね!」

一応明るい声を出しておいた。
それからしばらく母と会話をして電話を切った。

何もできない、か。
わたしはまだそういうイメージなのかぁ、とちょっとヘコむ。

ああ、もうダメダメ。気持ち切り替えよう。

わたしはテーブルにスマートフォンを置いてソファーから立ち上がり、キッチンへ向かった。
久々にご飯炊いて、野菜炒めを作ろう。

そうして夕飯を食べ、お風呂を済ませたあとベッドで眠るとき、また司書の柊也さんのことを思い出していつもより寝つきが悪かった――


翌日からのわたしの行動は、かなりわかりやすいものだったと思う。

昼休みになると図書館の方へ向かっていた。
最初は中庭までだったけれど、待ってても柊也さんの姿を見ることができなかった。お昼休みなので生徒が来てもいいように館内にいるのだろう。三日目に思い切って図書館の中にえいっと入った。

そうしたら柊也さんはカウンターに座っていて、わたしの姿を見た瞬間微笑んでお辞儀をしてくれたから、わたしも慌てて頭を下げた。

どうしよう。入ったはいいけれど、生徒じゃないわたしでも本を借りたりしてもいいのかな。
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