腹黒司書の甘い誘惑
いきなりで準備ができていなかったから、されるがままになってしまった……という言い訳。

熱く責め立てるようなキスに、思わず漏れてしまう声と音が静かな車内に響く。

それを聞いていると、とろけてしまいそうなくらい、どきどきした。

やっと唇を離してもらえたとき、体の力が抜けてぐったりしてしまった。

そんなわたしを見て、柊也さんは唇の端を上げる。

「これくらいでへばるなよ」

これくらいって、あんなキスをされたらへばってしまうのはあたりまえだ……。
と言いたいのに、声は出なかった。

とろん、とした瞳で柊也さんを見つめる。

すると彼は目を細めていたずらっぽく笑った。

「その顔、結構可愛い」

「え……?」

ぽうっとしているわたしの頬を柊也さんが撫でて、そのまま指先は下へ降りていき、首筋に触れる。

堪らずびくっと体が震えてしまった。
ふっと笑われて、恥ずかしくなる。

「へ、変な触り方しないでくださいっ」

「なんで? その気になるから?」

「ち、違います!」

慌てるわたしをからかうような表情で見てくる柊也さんに、もうだめ、降参。
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