腹黒司書の甘い誘惑
高校や大学で男性とお付き合いしたことはある。
けれど、その時とは比べ物にならないくらいそわそわしている自分がいる。

恋愛初心者みたい。

わたしは小さな溜め息を吐いたあと、スマートフォンを鞄から取り出した。

こうなったら調べるしかない。
『男性をデートに誘う方法』というものを。

スマートフォンをデスクの真ん中に置いて、こんなことを検索しちゃう自分が本当恥ずかしい! と思いながら、ぷるぷると震える指で検索ワードを入力していく。

『男性 デート 誘う方法』という検索をしたら、ずらりとサイトが出てきた。
どれを見ようか悩む……。

「なになに。『男性を上手に誘う方法』って、面白いこと検索してるじゃない」

「ぎゃあ!?」

驚いて叫び声をあげたわたしは、勢いよく振り向いた。
わたしの横に美鈴さんが立っている。
スマートフォンの画面を見られてしまった……!

唖然として固まっているわたしに、美鈴さんは微笑む。

「なんか低い姿勢でデスクをじっと見つめてるから、どうしたのかなってそばに寄ったらデスクにスマートフォン置いて操作しているんだもん。見えちゃった」
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