腹黒司書の甘い誘惑
「お二人はこうしてよく一緒に食事をするんですか?」

店員が去ってからわたしが訊くと、お茶を一口飲んで笹本先生が笑顔で答えた。

「気まぐれにね。外で飯食おうかなって気分のとき、近くに柊也がいたら誘ってる」

「そうなんですか」

「家で飯とか作らないからさあ。柊也も料理とかしないだろ?」

絶対やらない感じがする。という視線を柊也さんに向けると、彼は目尻でわたしを見たあと答えた。

「調理器具は揃ってる。作ろうと思わないけど」

「やっぱり。なんだか食生活が心配です」

「じゃあ君が作りに来てくれよ」

さらりと言った柊也さんを、わたしは固まって見つめた。

そして数秒後には赤面。

想像してしまった。自分が柊也さんにご飯を作っている姿を。

まさかわたしがこの程度で照れると思っていなかったのか、柊也さんは眉根を寄せて瞬きをした。

こういう事を言われるとは思わなかったんだもの。

どうしよう。以前よりも益々柊也さんを意識してしまう。
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