腹黒司書の甘い誘惑
そう言った柊也さんはこちらに歩いて戻ってくる笹本先生を見ていた。

「おっ、カツ丼きたきた」

テーブルを見て瞳を輝かせた笹本先生は、何ともない感じで席へ着いた。
そしてわたしに微笑む。

「サラダ、俺も食っていい?」

含みのある瞳で見られて少しばつの悪い顔をしながら「どうぞ」と言って人数分を小皿に取り分けた。


サラダもうどんも海老天もとても美味しかった。

向かいに座って笹本先生が美味しそうに食べていたカツ丼も気になるから、今度はカツ丼を頼んでみたいなと思う。

柊也さんとまた食べに来たいな。

そうだ。柊也さんと二人きりで食事をしたり、買い物をしたり、映画を見たり、そういうことをしたいのだ。

まずは誘う度胸を持たないといけない。


食事を終えてお店を出たわたしは、外の空気を大きく吸い込みながらそんなことを考えていた。

帰り際、あの女性たちに会わないか心配だったけど大丈夫だった。
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