腹黒司書の甘い誘惑
そこで、微妙な空気になったのを感じた笹本先生が動いた。

「二人とも食事したの?」

「あ、ううん、まだ」

「じゃあ早くテーブルに着いて注文しないと。店員さん困っちゃうからね」

立ち上がった笹本先生は穏やかにそう言って、女性二人をわたしたちの席から遠ざけていく。

離れた向こうのテーブル席へ移動していく二人を見ながら、わたしはほっとしてしまった。

そして運ばれてきた料理たち。
タイミングを合わせて出してくれて大盛りのサラダを見て、わたしは申し訳ない声を出した。

「あ、あの、大盛りで頼んだんですけど、わたしこんなに食べられないので柊也さんもよかったらどうぞ」

そっと柊也さんを見たら、彼もわたしを見ていた。

その瞳がわたしの心を見透かすように細まる。
だからわたしは視線をそらして俯いた。

「すみません……あの、さっきわたし勝手に嫌な気持ちになっていて……」

「別に。俺もさすがに鬱陶しいと思っていたから。君が話を中断させなかったら、俺が黙れと言っていただろうし。食事の邪魔になる前に笹本が穏便な対応をしたからよかった」
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