腹黒司書の甘い誘惑
車は30分ほど走って、見慣れた街から離れた。

お洒落な飲食店の並ぶこの辺りは、なんとなく熟れた感じがある。

駐車場に車を停めて、通りの歩道を二人で歩いた。

男女の二人組とすれ違ったりすると、隣の柊也さんをやたらと意識してしまった。

改めて思う。柊也さんの顔は綺麗すぎるほど整っている。

道行く人はちらちらと彼を見ていて、隣にいるわたしはその視線が気になってしまう。

こんな容姿の良い人がわたしなんかの恋人でいいのかと、申し訳ない気持ちになるけれど。

好きっていう気持ちや、柊也さんのことを笑顔にしてあげたいという気持ちは誰にも負けないから、堂々としていよう。


そんなことを思っていると、柊也さんが「ここ」と声をだして、顔を上げるとお洒落な外装のお店の前で立ち止まり、一度わたしに微笑んだ柊也さんは中へと歩いていく。
その後をついていくわたしはかなりそわそわしていた。

堅苦しい感じはない、落ち着いた雰囲気の洋食レストラン。

「仕事の後だし、気を使うような店じゃないほうがいいと思って。ゆったりとした所を選んだ」

ウェイターさんに案内されて丸いテーブル席へ着いたあと、柊也さんがそう言った。
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