腹黒司書の甘い誘惑
「柊也が一番和むのは彼女だろう?」

そう言った理事長に顔を向けた柊也さんは、確認するようにわたしの方を見てきて、すぐに視線を戻した。

なに、柊也さん。わたしで和むんですか?

気になって耳をそばだてる。けど、柊也さんは否定も肯定もせずスルー。

わたしは眉をしかめたけれど、お花の入った袋を理事長に差し出した柊也さんを見て、表情を緩めた。

「これ、あげるから」

ぶっきら棒な態度の柊也さんを見つめ、袋に視線を移した理事長は、差し出されたそれを受けとる。

そして中身を見て頬を緩めた。

「ベゴニアか」

「昨日、彼女と一緒に選んだ」

柊也さん、わたしのことは言わなくていいのに!

「ありがとう」

理事長は柊也さんを見て、それからわたしにも優しく微笑んでくれたから、ぺこぺこと頭を下げた。

「嬉しいよ。柊也がこうして私の所へ来て、花をくれて」

本当に嬉しそうに、穏やかに目を細めてお花を見る理事長の姿に、わたしは胸が温かくなった。

きっと、柊也さんも――
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