腹黒司書の甘い誘惑
「喜んでもらえてよかったよ」

照れ臭いのか、柊也さんの口調が素っ気ない。
けど、理事長はちゃんとわかっているようで、微笑んでいる。

「柊也は小さい頃から心優しいな」

「そんなことはない」

「あるよ。紙芝居だって、親御さんを待つ園児たちの為にはじめたんだろう」

「待っ、なんで知って……」

驚いた様子で視線を向けてきた柊也さんに、理事長はやわらかな笑みを浮かべる。

「ご丁寧に北上保育園の川谷さんという方が、学園にお礼状をくださってね」

「……そうか。いらないと言っておいたんだけどな」

「そういう訳にはいかないと思ったんだろう。とても助かっていると、感謝の気持ちが綴られていた。それを読んで、私は柊也のことを誇りに思ったよ」

「大袈裟だ……」

柊也さんは俯いてしまう。きっと、照れて困惑しているのだろうな。

わたしは理事長の言葉に胸が熱くなっていた。

「柊也の活動を知って、私はそれをサポートしたいと思う。何か必要なことがあったから、いつでも声をかけてほしい」
< 158 / 201 >

この作品をシェア

pagetop