腹黒司書の甘い誘惑
とにかく、朝起きてからは「考えすぎ!」と自分に言い聞かせていた。

学校は冬休みになっているけど、事務は27日まで動いているので出勤する。

柊也さんから連絡は入っていない。

彼も学校にいるはずだけど、わたしに会いにくるようなことはなかった。

なんだか、つらいな。


「今日は家でクリスマスパーティーなの。帰りにピザやチキンを買って帰らなくちゃ」

「わたしもよー。娘よりも旦那のほうがケーキケーキと騒がしいし」

豊子さんと美鈴さんの明るい話し声をデスクでぼうっと聞いていたら、美鈴さんがわたしのほうを見る。

「理乃ちゃんも楽しいクリスマスを過ごしてねっ」

「はい」

にやりとしている美鈴さんにわたしは返事をしたけれど、苦笑いだった。


仕事帰り。わたしはケーキをお店に取りに行った。

店内で流れているクリスマスソングが、胸にちくりとした痛みを呼ぶ。

鈴の音が響く賑やかな曲が、とても寂しく感じた。
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