腹黒司書の甘い誘惑
夢のようにも思えて、これは本当に柊也さんなのかと彼をじっと見たけどやはり間違いなく柊也さんで。

「柊也さん……ありがとう、嬉しい」

そっと指輪に手を伸ばしたら、彼に掴まれた。

「意外と緊張するもんだな」

「緊張、してたの?」

「とても」

柊也さんは苦笑した後、穏やかな表情でわたしの指を見つめて、薬指に指輪を通してくれた。

「すごい、ぴったり」

「指のサイズを聞いたらバレるだろうから、いつも君の指を触って一生懸命確認してた」

そう言って笑った柊也さん。

ああ。それでいつもわたしの指を触りながら何かを考えているような感じだったのか。

なんだ、もう、そうだったんだ。
わたしはほっとしながら指輪を眺める。

「俺の誕生日のときに、君を幸せにしたい、俺だけの女にしたいって強く思った。だから指輪を贈ろうと思ったんだが……今月に入ってから店に頼んだものだから、時期が時期で込み合っていて、いいと思うデザインが品切れだった。けど俺はどうしてもイベントに合わせたかったんだ。君に感動してもらいたいから。……と、思ってたけどぐだぐたになったな」
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