腹黒司書の甘い誘惑
「指輪なんて買ったことなくて、一人でジュエリーショップに入るのは本当に気恥ずかしかった。しかもエンゲージリングなんて」

「な、えっ……え?」

今さらっとエンゲージって言ったけれど、それって。

「あの、柊也さん、これは」

「君に受け取ってもらいたい」

彼の言葉に、わたしは時を止めたかのように固まってしまった。
胸の鼓動が全身に響いている。

驚きと混乱、そしてときめく想い。
それらを受け止めきれず、瞬きすらもできない。

目の前の柊也さんは眉尻を下げ、頬を緩める。

「君のそばが安心する。俺を安心させてくれる君を、俺の手で幸せにしたい」

「柊也さ……」

「結婚してほしい」

どきん、と大きく胸が鳴って頬が熱くなってきた。
熱が出てしまったんじゃないかというくらい体も火照ってきて、ジュエリーケースを開いて差し出されたダイヤの指輪に泣きそうになった。

嬉しくて。柊也さんに言われた言葉も、指輪も、何もかも。
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