あるワケないじゃん、そんな恋。
「ハッ…ハッ…ハッ…ハッ…ハッ……ハァァァァ……」


魂まで抜け出そうなほど息吐いた。

肩呼吸してる私の横で、羽田は大して息も切れてない。



「…なんで逃げだすんだよ」


『あんたの為でしょ!!』


声が出せない。
その顔を見て、羽田は思いきり笑いだした。


「菅野……息上がり過ぎ!!」


あははは……!って朝からテンション高いな、こいつは。


「うるさ……ぃ!あんたが……ぃい加減……否定しなぃ……からでしょ……!!」


そもそもそこが始まりだったじゃん。

信じる信じない…でファーストキスまで奪われた。


「ホントのこと……言いなょ……童貞じゃなぃ……て……」


「え〜〜⁉︎ なんで〜〜⁉︎ 」


つまらん……て、それであれこれ聞かれるこっちの身にもなってよ!


「もうっ…!ふざけないで……!」


誤解されたままでいいの⁉︎
情けなくないの⁉︎



「ど…童貞卒業させるのが使命みたいに言われるのヤなの!そんな経験……私ないのに……」


「ああ、処女はお前の方だもんな」


その歳で…って、歳は余計だっ!!!



「と、とにかく…店長たちにきちんと説明して!身から出た錆でしょ!」

「古っ!お前は婆ちゃんか」

「何とでも言って!それよりあの立ち飲みバー暫く行かないから!店長やクマさんの知り合いが勤めてるみたいなの!」


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