あるワケないじゃん、そんな恋。
受験勉強は計画的にしてるから自信はあった。
恋とは関係なく、自分には夢もあるから頑張れる。



……ただ、バイトに行き始めて知ったの。




菅野さんは、洋ちゃんの彼女だってことを。


しかも最近付き合い始めて、その……は、初エッチの相手だ……って、店長さんや他のスタッフさんが洋ちゃんをからかってるのが聞こえてきて……。





「羽田ちゃ〜ん、イブの日にヤリ過ぎたんと違う?」

「初エッチは成功したんだねー!おめでと〜!」

「今度、二人に一杯奢るから。約束通りに!!」



……洋ちゃんは困った顔して照れてた。

だから、てっきり皆の言ってる事が本当かと思ってたけど。



ーーー菅野さんは「違う」って言った。

自分は洋ちゃんの初エッチの相手じゃない…って。



そうじゃないかな…とは思ってた。


だって、洋ちゃんは高校時代からずっとモテモテだったもん。

口は悪くてオレ様なところがイイ…って、女の子が次から次へと告白しに来てた。


バレンタインデーには、毎年山のようにチョコを抱えて帰ってきてたし、妹の真帆ちゃんはそれを消費するのが役目になってて、一人じゃ食べきれないから手伝って…と言われてたくらい。


本命の子はいたと思う。


何人か見かけた事がある。


洋ちゃんの家から、二人で出てくるところを……。




その度に嫌な気持ちになった。

家族が留守の間、二人で何してたんだろう…と思うとやりきれなくて。


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