あるワケないじゃん、そんな恋。
「ほら、言わんこっちゃない……」


一緒にしゃがみ込んだ羽田と目が合う。
この体勢、まるで観覧車の中と同じ……。


「無理しねーで休めよ。店長の佐々木さんには俺から上手いごと言っといてやるから…」


こういう時の羽田の言い方は優しい。
こんな態度取られると自分が一番近い場所にいるんだと錯覚してしまう。


…でも、この場所もいずれは芹那ちゃんのものになるんだ……。



「いい……。仕事行く。クビ切られたくないもん」


クビ切られたらもう羽田にも会えなくなるもん。
一緒に飲んだりはしなくなっても、芹那ちゃんと付き合いが始まっても、やっぱり…気の合う仲間ではいたいから……。


地面に手をついて、押すようにして立ち上がった。


(あれぇ〜?…目が回る……)



立ってらんない。

まずっ…!
立ち眩み………




「菅野っ!!」



道路に体叩きつけるのかと思ったら羽田に受け止められた。



(この感じ……どっかで………)







ぎゅっ………。




(ああ……そうか………あの時と同じだ………)




< 99 / 209 >

この作品をシェア

pagetop