おふたり日和 ―同期と秘密のルームシェア―
「たしかに、無駄足になる可能性もかなり高かったな」



トラが声をあげて笑った。



「でも、今日、うさが来てくれたから。

だから、無駄足にはならなくてすんだ。

俺の3ヶ月の努力が、やっと報われたよ」



脇の道を、スピードを出した車が通りすぎていく。


トラは私の手首をつかんで、腕を引いて、歩道の内側に寄せてくれる。



その拍子に、トラの胸に頬が当たった。


こんなに身長差があったっけ、と思って、どきりとする。



「ひとつめの質問の答えは、以上。

結論を繰り返すと、つまり、うさに会いたかったから、一縷の望みをかけて、ここに通ってたってこと。

だから俺はここにいる」



トラがまっすぐな目つきで私を見つめる。


その近さに、頬が熱くなった気がした。



「―――で、ふたつめの質問。

なんでうさにキスしたか。

お前は、なんでだと思う?」



逆にたずね返されて、さらにどきどきが高まる。


なんでだと思うって………それは、ふつうに考えたら。



「ごめん、ちょっと意地悪だったな」



トラがぷっと噴き出した。


それから、優しい微笑みで私をつつみこむ。



「うさのこと、好きだからだよ。

ふつうの答えでごめん、なんの面白味もなくて」




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