おふたり日和 ―同期と秘密のルームシェア―
―――うさのこと、好きだからだよ。



なかなかの爆弾発言を、あまりにもさらりと言われて、私はぽかんとしてしまう。



「うさのこと好きだから、やっと会えたら嬉しすぎて。

だから、キスしたいと思った。


うさの顔、見てたら、お前も俺のこと好きだろうなって思ったから、たぶんしても大丈夫だろうって思って。

だから、キスした」



トラの口から出るなんて思ってもみなかった言葉が、私に向けられることなんてないと思っていた言葉が、次々に飛び出してくる。


期待することさえ許されないと思っていた言葉。



「拒否られたり、突き飛ばされたりしなくて、安心した」



トラが子どものようににっこりと笑う。



私の好きだった、くったくのない笑顔だ。


会社では見たことのない、私だけに見せてくれた笑顔。



でも、それは私の思い上がりだと思っていた。


五十鈴さんの存在を、トラに婚約者がいることを知ったから。



―――それなのに。



「………ちょっと、まって。

どういうこと?


好きって………トラが、私のことを?」



そんなことはありえないと思っていたから。


だから、いきなりそんなことを言われても、のみこめない。


納得できないし、信じられない自分がいる。




< 168 / 190 >

この作品をシェア

pagetop