おふたり日和 ―同期と秘密のルームシェア―
この可愛い女の子は、1603号室を訪ねてきた。
しかも、『日比野さん』に用事があると言った。
つまり、間違いなくトラを訪ねて来たということだ。
ということは、トラの知り合い。
どういう知り合いか?
そりゃ、ねえ………。
若い男と女が知り合いで、しかもこんな時間に直接マンションの部屋に訪ねて来るってことは、やっぱり、そういうことでしょう。
でも、まさか。
そんなはずない。
だって、トラと私の間では、ちゃんと約束してあったのだ。
『恋人ができたら、すぐに報告すること。
どちらかに恋人ができたら、同居は解消すること。』
男と女でルームシェアをする上で、こういう決まり事は絶対に必要だろうと思って、私が言い出したことだ。
トラも二つ返事で承諾した。
トラは嘘をついたり、ごまかしたりするような人じゃない。
だから、トラに彼女がいるなんて、ありえない。
彼女ができたのに私に黙っているなんて、そんなはずはない。
ということは、この女の子はトラの彼女ではないのだ。
そこまで至って、私はゆっくりと口を開いた。
「あの、また不躾なことを伺いますが………。
日比野さんとのご関係は?」
たぶん、トラの妹だとか、従妹だとか、そういう答えが返ってくるだろうと予想していた。
―――それなのに。
女の子はにっこりと満面の笑みを浮かべ、甘い声でこう答えたのだ。
「あら、申し遅れました。
わたくし、西園寺五十鈴(さいおんじいすず)と申します。
悟さんの婚約者でございます」
しかも、『日比野さん』に用事があると言った。
つまり、間違いなくトラを訪ねて来たということだ。
ということは、トラの知り合い。
どういう知り合いか?
そりゃ、ねえ………。
若い男と女が知り合いで、しかもこんな時間に直接マンションの部屋に訪ねて来るってことは、やっぱり、そういうことでしょう。
でも、まさか。
そんなはずない。
だって、トラと私の間では、ちゃんと約束してあったのだ。
『恋人ができたら、すぐに報告すること。
どちらかに恋人ができたら、同居は解消すること。』
男と女でルームシェアをする上で、こういう決まり事は絶対に必要だろうと思って、私が言い出したことだ。
トラも二つ返事で承諾した。
トラは嘘をついたり、ごまかしたりするような人じゃない。
だから、トラに彼女がいるなんて、ありえない。
彼女ができたのに私に黙っているなんて、そんなはずはない。
ということは、この女の子はトラの彼女ではないのだ。
そこまで至って、私はゆっくりと口を開いた。
「あの、また不躾なことを伺いますが………。
日比野さんとのご関係は?」
たぶん、トラの妹だとか、従妹だとか、そういう答えが返ってくるだろうと予想していた。
―――それなのに。
女の子はにっこりと満面の笑みを浮かべ、甘い声でこう答えたのだ。
「あら、申し遅れました。
わたくし、西園寺五十鈴(さいおんじいすず)と申します。
悟さんの婚約者でございます」