クールな王子に捧げる不器用な恋【番外編追加】
え?

彼に引き止められるとは思わなかった。

意外な展開に驚いた私は、目を見開いて真田さんの顔をじっと見つめる。

「自分が何をしてるかわかってる?」

ちょっと怒ったような真田さんの顔。こういう彼は珍しい。

だって、いつもニコニコ笑ってるから。

嫌われちゃったかな?

でも、いつまでも子供扱いされたくない。

「わかってます!」

私はムキになって声を上げた。

「狼に……というか、俺に襲われちゃうよ?」

どこか茶化すような口調なのに、真田さんは肉食獣のような鋭い視線で私を見る。

こんな真田さん……知らない。

背筋がぞくりとしゴクリと息を飲んだが、気を取り直して勇気を振り絞った。

「……どうぞ襲って下さい!」

なんとも間抜けな言い回しに自分でもびっくり。
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