【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
Prologue



私の汚れがこびり付くのが怖いくらいに真っ白な天井を仰いで見せた。


それに気付かない男らしい、骨張った、太陽の香りがするその指先が神経を尖らせて私に触れる。


タクのその指先が触れる瞬間、抱かれる瞬間だけ美しく鳴けるの。


仮面をつけて、本当の自分を隠した私が汚い部分すら輝かせられるの。


だけど……ね?


他の女性(ひと)を思いながら切なく歪む君の、その恐ろしい程に整った顔を見ると、なんだか……心がね、泣き出しそうなくらい、叫ぶんだよ。
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