【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
『愛のある、愛する人とのセックスは気持ち良い』なんていう話を良く聞くけれど、それは少し違って思える。


ふわふわするし、ぐずぐずするし、溶かされるような感覚はあるけれど、それが快楽なのかはタクとの行為でも良く分からない。


でも、蒼次郎とのセックスと決定的に違う。タクが私に触れる度、身体の触れられない奥底から、幸せを感じるんだ。


「美姫、大丈夫ですか……?」


タクが、愛しい人が、私の名前を呼ぶ度にもっと好きになる。もっともっとと、声を上げる。


いつもは絶対に、出す事の無い私の溶け切ったその声に、タクは唇を歪めて吊り上げると、その唇を身体へと置き、じっくり、しっとりと移動させた。


太陽の香りがするそのゴツゴツの骨張った掌に指を絡めると、強く、ぎゅっと握り返してくれて、嬉しくて溢れ出す、涙。


身体の奥のその奥に、タクを感じる度に、じわん、と幸せ溢れ出た。


こんな気持ちになるのは初めてだよ。この想いが独りよがりなものでも、私は今だけ世界一幸せな女。

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