【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
なら、いっそのことそれを利用しよう。タクは狡い私に嵌められていればいい。罪悪感なんて持つ必要も無いから。


「そんなに、そんなに気持ちが強いなら、その気持ち、私にぶつけて下さい。私は身体だけでも、タクと繋がれれば嬉しいから。貴方が、好きだから……」


「美姫!そんな事しないで下さい!君が僕の為に、何故傷付く必要があるんだ」


ニットを脱ぎ捨て、中に着ていたキャミソールに手を伸ばした私を止めるタクの手を、私は無理矢理自分の乳房の上へと重ねた。


お酒の力も借りて、大胆なことをして困らせていると思う。


でも、会いたくて、会いたくてたまらなかったタクを目の前に、どうしても、何か欲が湧き上がる。


私に押し切られたらタクが拒否出来ない事を、私はもう知っている。あの時作った既成事実で彼をまた、闇へと少しだけ誘う事が出来る。


「傷付かない。ううん、傷付いてもいい。傷付くくらいが丁度良いの。身代わりでも、それでも構わないから」


ふわふわとどこか空中に浮かんだようなそんな感覚のまま、覚束ない手つきで、今度はタクのワイシャツのボタンを外す。


見上げた先のタクの表情が、まるで泣き出しそうな子供のような切ない表情に見えた。
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