【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
我が儘で、タクを困らせてばかりで、本当にごめんなさい。


タクのシャツのボタンを外し追え、その胸板に額を寄せて、タクに巻き付くように引っ付いて、抱き着く。


「美姫、ダメです。今なら止めれるから、だから」


「止めない。私、絶対に」


理性と本能の間で雄の顔になりつつあるタクに、私は躊躇いなくキスを落とし、自らの唇でタクの唇を柔らかく噛む。


そうすると、タクがただの男に、雄になる事を私は女として、雌として、もう知ってしまっているんだ。


大喜さんは私に『素直に』と言ったけど、やっぱりそれは無理みたい。


素直になったって、タクに触れられるのは身体だけ。心には触れられないのを私は分かっているから。


だからせめて、今だけは、タクの温もりを求めても良いでしょう?それくらい許して欲しい。罰なら後で、いくらでも受けるから。


そんな渦巻く想いを掻き消すように、体勢を逆にして主導権を奪ったタクのキス。


立場も、過去も、複雑な考えも、全て忘れて、今だけ私とタクは互いの温度を求め合う男女と成り果てて堕ちて行く……。
< 134 / 211 >

この作品をシェア

pagetop