【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
酷い脱力感と、飛びそうな意識。そんな私にお構いなく、タクは情事を進行する。


タクと繋がる瞬間、さっきの甘い痺れと主に私の身体に幸せが湧き上がった。


錯覚かもしれないけれど、この瞬間だけ、タクと心が一つに重なる気がする。だから、幸せで堪らない。


光が差し込むように、徐々に白の世界へ導かれる。


そんな中、この間と同じように、タクが私の耳を大きな掌で塞いだ。


タクは、何を囁いているのだろうか。その甘い声で、整った唇で、どんな音を吐き出しているのだろうか。


快楽の園に導かれる中、タクの唇の動きを、目を凝らして確認しようとする。


『お』『え』『ん』


『お、え、ん』と確かに、唇はそのような動きをしている。何度も壊れたテープのように繰り返し動く唇の動きを、逃したくない。


だけど、それだけじゃ何を言っているのか分からない。気を抜いたら持っていかれそうで、集中して、唇の動きを見つめてみる。


『お、え、ん』『あ』『い』『て』『る』
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