【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
しばらくそのささやかな式の余韻にそれぞれが浸り、母達三人はタクが手配していた写真スタジオに撮影に向かうよう。
「ありがとう、美姫。こうして素敵な式を挙げられるのは貴方のおかげよ」
「え、そ、違……これはその、タクが」
今日の主役の母が私にお礼を言うものだから全力で否定する。
だって、この式はタクが全部手配したもの。私は今日今この場でそれが行われる事すら知らなかったんだから。
困って隣のタクを見上げれば、にっこり微笑み私の頭をその骨張ったゴツゴツの手で撫でる。
大好きな、出会った時から変わらない太陽の香りが漂ってくると、せっかく落ち着いたのにまた涙が溢れそうになってしまう。
「美姫、それは違う。確かに形にしたのは僕ですが、君が悩んだから、声に出したから、こうして形になったのです」
何もしていないのに、ただ悩んだだけなのに、それが幸せに繋がってくれた。
「あらあら、うちの子は何だか最近泣き虫ね」
「僕がそうしたらしいですよ」
タクの堂々としたその言いっぷりに、母と義父は微笑ましそうに笑い、私は目尻を押さえて隠しながらタクの背中をばしんと叩いた。
たまにタクは人前だとかそういうのを気しない行動を取る。それが無自覚なのか意図的なのかは全く分からない。