【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
「美姫、止めた方が身の為ですよ。あんな野獣の巣窟に君を放り込むだなんて、僕はいてもたってもいられない」


「タク、決意を鈍らすことを言うな。週一で月収五万でどうだ?」


氏原零はまだ止めようと躍起になるタクの額を間髪入れずぺしんと叩くと、大きな掌を広げ不敵にに笑った。


その掌は、小指の先から親指の先まで計ったら三十センチはあるかも、なんて関係ないことを考えてしまう。


「しょうがねぇ。美姫があの環境に慣れるうちは、心配性の若ジジイも付属してやるよ。過保護ロリコン野郎が」


「零さん、それは僕のことを言ってるのですか?僕が若ジジイなら貴方はただのジジイロリコンですよ?僕より若くないのですから」


そんな、妙に親しみを含んだ言い合いをまた始める二人。私はそんな二人を見ていて思わず笑みが零れた。


他人なのに、私や私の母親との間柄よりも、この二人の方がずっと深く繋がっている。それを少し、羨ましいだなんて思ってしまうんだ。
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