【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
「じゃあ穂純信者が揃ったところで昔話でもしときます?」


いつまでもぶんぶんと手を振るゴローさんを見兼ねたのか、大喜さんがゴローさんの手を私がら外してぎゅっと握りながら言う。


「んー、事情がわかんないけど、もしかしてこの子に必要?何か抱えてるっぽいしね」


思ったより頭の切れる方らしいゴローさんは、眠そうなその垂れ目で笑うと、タクさんの隣に向かった。


「何だかねぇ、ダイちゃんの手がぬくぬくしてたせいで眠いの。タクちゃん起こしてー」


「はいはいもう、君はそんなで普段の仕事大丈夫なんですか?」


ここの空気はまるで、何でもない一言を言ったゴローさんに対して他の全員も何とも思ってないような雰囲気なのだけれど、私にはあの一言がぐさりと突き刺さった。


そんなに私、顔に『私は辛いです』って書いてあるのかな?自分は被害者です、みたいな、悲劇のヒロインみたいな顔をしているのかな?


そんなつもりは無いし、今まで上手く仮面を被って来たと思う。


なのに、このお店人達には、そんな取ってつけた仮面は通用しない。


ぼんやりと頭の片隅で考えているうちに、彼等は優しく話しを始めた。
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