【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
こんな温かい言葉を当たり前のように言える人達が今まで私の周りにはいなかった。


私はいつか、この人達のようになれるのだろうか。誰かの笑顔を守れる大人になる事は出来るのかな。


きっと、今の私は『人』なんかじゃないんだと思う。


『人間』って言葉の通り、『人』の『間』なんだ。成り切れていない、ただの動物。ただ女という性別を与えられ、息をしているだけの存在なのだろう。


「君は変われますよ。……だってほら、僕等の優しさに触れて泣ける子なんだから」


タクに言われて、今日で二度目の自分の涙に気付いた。けれど、これはさっきよりもずっとずっと温かい涙。


涙の理由なんて全く分からないけれど、こんなに温かい涙の温度に触れるのは、生まれて初めてだった。


この温もりは……多分この先何があっても一生忘れられないだろう。


私にもこんな涙が流せる事を、生まれて初めて知ったよ。悲しいでもなく、嬉しいでもない、不思議で温かい、そんな涙を。
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