【完】君の指先が触れる度、泣き出しそうな程心が叫ぶ
今日はいっぱい色んなことがあり過ぎた一日だったと思う。だけど、この疲労は嫌なものじゃないと思える。
タクはお店からうちまで車で送ってくれた。団地下まで着いて、車を出ようとしたとき、タクが私の右側の二の腕を掴む。
「美姫にはまだ、僕からアルバイトを始めてくれたお礼をしてませんでしたね。はい、これあげます」
「え……何、これ?」
タクに手渡されたのは、メモ帳で作ったであろう『なんでもお願い券』という紙切れ。
「それで美姫のお願いを何でも聞きます。契約書みたいなものだと思って下さい。使って頂けるなら、僕は出来る事なら何でも叶えますからね」
私はニッコリ笑うタクと『なんでもお願い券』を見比べる。
なんだか昔母にあげた『肩たたき券』を思い出して笑みが零れた。
「ふは、大人なのに、やる事可愛い……」
タクに似合う、角張った縦長の綺麗な文字を見つめていると、零れる笑みを止められない。