俺様当主の花嫁教育
もう、ほんと、どうにかして、この姉弟……。


私の心の消沈を見抜いているのか、御影さんはニヤッと意地悪く笑った。


「そういうわけだ。お前の元カレへの復讐って『着物姿で結婚式に出席して見返してやる』だろ? それならそのままでいい。そこそこ立派な着物着て、飲まず食わずで一言も喋らずにニッコリ笑ってれば、数時間なら誤魔化せるんじゃないか?」


……少なくとも、これは絶対にバカにされてるとわかる。
着物着てジッとしてろなんて、そんなのただのお人形さんだ。


「み、御影さん! あなた、私に約束したでしょ!? 大和撫子にしてやるって!」


悔しさのあまりムキになってそう言い募ると、御影さんはフンと鼻を鳴らした。


「俺は一応お前にも選択権を与えてやったんだよ。『着物美人』で満足するか、『大和撫子』まで欲張るか……。幸い、どんな初心者でもある程度の作法知識はネットで情報手に入れられる時代だ。俺の席までに自分でなんとかしろ。もちろん、そこまで真剣に求めるわけじゃないなら、見学だけしてさっさと帰れ」

「なっ……」


あまりの言われように言い返す言葉が見つからない。


だって私の怒りを煽って焚きつけてきたのは御影さんの方だ。
その上一方的に呼び出されて、こんな気まぐれな言い草でバカにされたんじゃ、いくらなんでも悔しすぎる。


「じゃ。その気になったら、受付で俺の名前出せ。話は通しておくから」
< 26 / 113 >

この作品をシェア

pagetop