君の隣
その朝、台所には慎也の姿があった。
エプロンを身につけ、慣れない手つきでフライパンを振るう彼の背中。
麻未は赤ちゃんを抱きながら、その様子をそっと見ていた。
「焦げてない?」
「ちょっと焦げたけど……食べられる範囲。
たぶん」
振り向いて笑う慎也に、麻未も思わず笑った。
この日は、慎也の“育休初日”。
職場に相談し、数週間の休みを取ってくれたのだ。
「朝ごはん、できたよ。
……ほら、座ってて。
まだ本調子じゃないんだから」
「ありがと。
……パパさん、初日、がんばってるね」
「パパさん、ビビってるけどね。
沐浴とかミルクとか、ちゃんとできるか不安だし」
「……でも、いてくれるだけで、安心する」
そう言って微笑む麻未に、慎也は照れたように目を細めた。
「俺も、ちゃんと父親になるよ。
今日から、毎日、隣で一緒に育ってく」
赤ちゃんが、小さくくしゃみをした。
エプロンを身につけ、慣れない手つきでフライパンを振るう彼の背中。
麻未は赤ちゃんを抱きながら、その様子をそっと見ていた。
「焦げてない?」
「ちょっと焦げたけど……食べられる範囲。
たぶん」
振り向いて笑う慎也に、麻未も思わず笑った。
この日は、慎也の“育休初日”。
職場に相談し、数週間の休みを取ってくれたのだ。
「朝ごはん、できたよ。
……ほら、座ってて。
まだ本調子じゃないんだから」
「ありがと。
……パパさん、初日、がんばってるね」
「パパさん、ビビってるけどね。
沐浴とかミルクとか、ちゃんとできるか不安だし」
「……でも、いてくれるだけで、安心する」
そう言って微笑む麻未に、慎也は照れたように目を細めた。
「俺も、ちゃんと父親になるよ。
今日から、毎日、隣で一緒に育ってく」
赤ちゃんが、小さくくしゃみをした。