君の隣

弱さ

深夜3時。
拓実は、病院近くのこぢんまりとしたレストランで、同じ病院に勤める薬剤師・真奈美と向かい合っていた。

テーブルの片隅に置かれたICレコーダーの赤いランプが、静かに瞬いている。

 グラスの氷が、静かに溶けていく音だけが響いていた。

「……わざわざ、ありがとう。

 時間、取ってくれて」

「そんな他人行儀な言い方、やめて。

 理名ちゃんのことなんでしょ?」

真奈美は苦笑まじりに水を一口飲む。

「でも……あの子、最近どこか遠くを見てる感じする。

 あれ、かなり疲れてるわね。

 はっきり言って、重症だわ」

拓実は俯いたまま、指先でグラスの縁をなぞる。

「……睡眠も浅いみたいで。

 夜中に目が覚めてるの、たぶん毎晩」

「ふたり、うまくいってないの?」

真奈美からの問いかけに、返事はできなかった。

 
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