君の隣
突然、心電図がフラットに近づく。

 赤い警告ランプが点滅し、麻未が叫ぶ。

 「アドレナリン、投与準備!」

 「除細動器、すぐに!」

目の前で、彼女の命がこぼれ落ちそうになる。

  「……嘘、だろ……」

(お願いだから──
 まだ、行かないでくれ……!)

拓実の中で、何かが崩れた。

 恐怖、後悔、絶望……そのすべてが、怒りに変わる。

自分への怒り。
こんな状態になるまで、気づいてやれなかった自分。

だけど──

「……終わらせねぇよ」

拓実の唇が、低く震えながら動いた。

「絶対に……終わらせない。

 お前を、絶対に離さない」

震える手で、理名の冷たい頬に触れる。

 その手に、わずかな温もりが戻る気がした。

「何があっても、戻ってこい……理名。

 俺は、ここにいる。

 ずっと、そばにいるから……!」

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