君の隣
「……拓実、そんな目で見ないで……恥ずかしい……」

「可愛いって思ってるだけ。

──愛してる」

言葉と共に、唇が肩に触れ、鎖骨をなぞっていく。


白衣の下に隠してきた、女としての彼女を、丁寧に、確かめるように。

理名は自然と目を閉じ、拓実の手のひらに自分の想いを預けた。

「ねぇ……もっと……触れて……」

その声に応えるように、拓実の手が、理名のナイトウェアのボタンをひとつずつ外していく。

 ゆっくり、慎重に。

 急がず、逸らさず、彼は理名を“女性として”包み込んでいく。

「綺麗だ……ほんとに」

「拓実……言わないでよ、恥ずかしい……」

「……ずっと理名しか見てない。
好きすぎて、困る」

その言葉に、理名の目尻が少しだけ緩み、甘えるように拓実の首に腕を回した。

 ふたりの身体が、ようやく、迷いなく重なる。

触れ合うたびに、熱が高まり、息が浅くなる。

 言葉では言い尽くせない思いを、ふたりはその肌で伝え合った。

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